余白の愛 (中公文庫)
ここ最近、小川洋子の本をよく読む。
この人の話は不思議なものが多くて好きだ。不思議な話だけど現実とかけ離れたものでなく、「そこにありそうな」話を綴る。『余白の愛』で3冊目になるが、この人は「何かを閉じ込める」ということが好きなのかしら。
この話の中で、女性は自分の記憶を紙に閉じ込める。とても状態の良い、とっておきの場所にその紙は保管されていると言う。思いに任せて放つ言葉を、速記用の、読めない字で紙に封じ込めていく。この作業を淡々と重ねる彼女と指。
時間と過去と自分と記憶。ひとつのものをひとつにして、ひとつのものをひとつでなくしていく。案外、大変なことをやってのけて人は歩いているんだなぁと感じた作品。

でも3冊の中では3位かな。

明日は4時起きで店舗の売り場作り。
それを口実に今日早く帰れてよかった。少しほっとした。